小野派一刀流の開祖で徳川家剣術指南役であった御子神典膳こと小野忠明は、十市氏の一族。安房国朝夷郡丸山郷神子上の郷士で里見氏の家来。曽祖父の神子上大藏は里見十人衆頭600石。祖父の神子上庄藏は100石で(天文三)1535年の犬掛合戦で木曽新吾と相打ちで死亡(『房総里見軍記』『里見九代記』)。父は神子上重(神子上土佐)。母は小野氏。御子神とは、神の子という意味で、大国主の子である事代主の末裔の十市氏の祖先から由来。
柳生宗矩と仕合をした際に真剣に対して、一寸八尺ばかり(約55センチ)の薪の燃えさしで応戦、宗矩の服をススだらけにし、柳生十兵衛さえも降参したという逸話(一刀流三祖伝)が残っている。
通常、将軍家の師範役という立場をわきまえて、他流試合などは受けなくなるが、宮本武蔵が二度目の江戸入りをした際、柳生宗矩が武蔵の挑戦を避けたのに対し、小野忠明は自分から武蔵に挑戦状を叩き付け、武蔵が恐れこれを避けたという。
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