客が市井を出て、山路をのぼり山居の紫門に至るまでの道程が外露地の世界であり、紫門を入った山居の侘び住まいが内露地の世界を意味します。
最終到達点である茶室への入り口としてのにじり口へのアプローチの特殊性を強めるために、一定の広さの内露地の空間を茶室の回りに囲みとった演出効果が、二重露地や内露地の外に雪隠や待合などのある区画を設定することにつながりました。
露地がとる山里の面影は、あたかも大和の青垣山々の里山の投影であり、侘び草庵の茶は持たざる者が、それゆえに生活を律し、大自然の恩恵に感謝し、精神的充足を感じ合う空間こそ、権勢や何物にも縛られず開放に満ち自由にあふれた三宗匠が愛した堺と今井の町を彷彿させたのではないでしょうか。
そして、初座と後座で約四時間余りの遁世に精神の浄化再生を得て、世俗の世界に戻ってゆきました。