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公益財団法人十市県主今西家保存会所有 今西家五軒長屋再生案
かつて今井町は、天文年間(1532~55)、一向宗念仏道場(現・称念寺)を中心に形成された寺内町で、かつて織田信長軍と戦って武装解除されてから後は自治都市として発展をした東西600㍍、南北310㍍の町全体が日本で一番多くの伝統建造物が残っている国の重要伝統的建造物群保存地区となっていますが、ヨーロッパでの価値が高くユネスコも当初世界遺産になってくれないかと示唆した経緯がありました。 今回、公益財団法人 十市県主今西家保存会所有の空き家となっている今西家住宅五軒長屋再生案を協議し、国際コンペ運営企画案を作成して東京大学先端科学技術研究センター長・東京大学副学長を歴任された西村幸夫國學院大學観光まちづくり学部初代学部長を渋谷キャンパス若木タワーへ相談に参りました。西村幸夫博士に「路地を隔て空き家となっている今西家五軒長屋と向かいの城野さんの三軒長屋を先駆けて再生する事によってモデルデザインを創り、重伝都市今井町から奏でる町並みというハーモニーの調和をはかれれば後世にかけがえのない遺産をのこせる。建築家にとってこれにすぐる冥利はないでしょう。」とお話ししていただきました。
読売新聞 日曜版よみほっと 旅を旅して4月21日に掲載
自治都市の誇り 息づく…今井町(奈良県橿原〈かしはら〉市) この建物は、人々の間に自由な精神があふれている時代に建てられたにちがいないと、私は感じていた。――伊藤ていじ「民家に学ぶ」(1982年)  「伊藤先生に『発見』してもらって、おばあちゃんには救世主に見えたかもしれませんね」  今西家18代目当主、今西 啓仁さん(64)は祖母キヨ子さんの気持ちを推し量る。夫は仕事で北海道に長く滞在し、傾いた家に息子と住んでいた。「先生は今西家を民家の国宝第1号にしたいとおっしゃっていました」  東大による学術調査で、今井は中世の街割りに江戸期以降の民家が残る町として注目された。室町時代に本願寺の門徒が 環濠と土居で守る寺内町を形成。織田信長に降伏後は自治都市として栄え、「海の堺、陸の今井」と称された。今西家は 惣そう年どし寄より の一つとして裁判権も与えられ、広い土間はお白洲として使われた。民家の価値と保存の意義を説いた建築史家と、町との縁は終生続いた。父・ 啓師さんの口癖は「今井町の志」だったという。自治都市の誇りは、町と人々の中に生きていた。